DHS403a 奇跡物語の「まえがき」③a トルストイ、ナポレオン、ヘーゲルの能力と限界 

・この記事は、シリーズDHS「奇跡物語」の記事です。

③ トルストイとナポレオンとヘーゲルの能力と限界がわかれば「人類の秘密」がわかる

・「まえがき」で言いたいことの三つ目は、「トルストイとナポレオンとヘーゲルの能力と限界がわかると『人類の秘密』がわかる」ということです。 💡

【トルストイ、ナポレオン、ヘーゲルのそれぞれの能力とその限界】

・話が長くなるといけませんので、「なぜ、トルストイとナポレオンとヘーゲルがわかると『人類の秘密』がわかるのか」という理由をかんたんにお話ししておきます。

トルストイは、「心の幸福をつかんだ人」です。
ナポレオンは、「現実世界で勝利をした人」です。

・ということで、
トルストイを学んでも、「現実世界の勝利」を手にすることはできません。
ナポレオンを理解できても、「心の世界の幸福」を手にすることはできません。

・しかし、トルストイとナポレオンとヘーゲルを同時に理解することができれば、「心の世界の幸福」と「現実世界の勝利」を同時に手に入れることができるはずです。

・これができたのがヘーゲルです。

ヘーゲルは、「心の世界と現実世界の勝利を統合する思想を説いた人」です。
ヘーゲルが理解できれば、「心の世界の幸福」と「現実世界の勝利」を同時に手に入れることができるはずです。

・しかし、ヘーゲルの哲学は難しすぎて、ふつうの人には理解できません。 😥

・「それでは、どうすればよいか」それを次回に話します。

DHS232c 戦争の真実と中道からの発展②c 無我の兵士、自我の兵士

【無我の兵士、自我の兵士】

・前回は、「ロシア軍の司令本部の自我と最高司令官のクトゥーゾフの無我」のお話をしました。
・今回は、「兵士たちの自我と無我」のお話です。

・「戦争と平和」における兵士たちの自我と無我の問題は、組織の勝利を考えるうえで大変興味深いテーマを提供してくれています。

・戦いが白熱して接戦になっとときに、その戦いに勝てるかどうかの最後の決め手は、「現場で戦う人間の士気の問題である」というのは容易に想像できるところです。

・ナポレオン戦争の最後の戦いではロシア軍の士気が高く、フランス軍の士気は弱かったということになります。

・すでにお話をした通り、フランス軍はモスクワに入ってから(掠奪という自我がでて)士気がゆるみ、それを立て直せないまま敗れていきました。

・それでは、一方のロシア軍の方は「なぜ、士気を高めることができた」のでしょうか。

・「戦争と平和」では「兵士たちに愛国心」が描かれています。
・「国を護る」、「皇帝陛下のために」という兵士たちの念いがロシア軍の強さになりました。

・ただし、この愛国心は常時でていたわけではありません。
・兵士たちの愛国心が自我をうわまわって勢いがでてくるときと、自我(この場合は恐怖心が大きいですが)が愛国心をうわまわって弱気になる場合があるのです。

・その理由は恐らく霊的な理由だと思います。

・戦争における霊的力の作用については次回にお話をします。

DHS232b 戦争の真実と中道からの発展②b 無我の将校、自我の将校

・前回は「真なる発展への道は『中道からの発展』である」というお話をしました。
・今回は、その続きです。

【無我の将校、自我の将校】

・仏教における「中道からの発展」で最も大切なのは「無我からの発展」です。

・しかし、無我の境地とは悟りの境地であり、かんたんに得られる境地ではありませんので、実践的に考えると「自我を強くしすぎない」ということになるかもしれません。

・「戦争と平和」では、このことがよく描かれています。

・「無我と自我」の対立は、司令本部のレベルでも、兵士のレベルでもあります。

・まず、司令本部のお話をします。

・ロシア軍の司令本部では、フランス軍がモスクワに入ったあとに、様々な将校がフランス軍を撃退するためのいろいろな作戦を考え、口にします。
・しかし、そのほとんどは戦場から遠く離れた将校が頭で考え出した作戦で、実践的には役に立たないものでした。

・しかも将校たちは、自分の優秀さを誇示したいためにそうした作戦を実践しない現場を責めました。

・こうした将校たちの自我がロシア軍の混乱のもとでした。

・一方、最高司令官のクトゥーゾフには、現場がよく見えていました。
(前線で指揮をとっていました。)
一番大切なのは忍耐であることがわかっていました。
(戦場にいる兵士たちとロシアの勝利のために、フランス軍の攻撃も、仲間の批判の言葉にも耐えました。)

・クトゥーゾフがフランス軍が弱るまでじっと我慢をして、フランス軍が窮地に追い込まれてから戦闘を開始して勝利を得ます。

・結論を言えば、クトゥーゾフには天上界からの指導が入っていたと言えます。

DHS232a 戦争の真実と中道からの発展②a 勇敢さと慎重さ

2 中道からの発展

・本論では、「人類の秘密」という大げさな題をつけていますが、神様が考える真なる発展への道を仏教の言葉で表すと「中道からの発展」となります。

・ナポレオン戦争に関してもこのことが勝敗を決める要因になっています。

【勇敢さと慎重さ】

・前回、「ナポレオンは守りに弱かった」というお話をしました。

・中道からの発展にはいろいろな面がありますが、その一つは攻めと守りの中道です。

・人生であろうが、企業活動であろうが、国家間の戦争であろうが、勝利するには攻めと守りの中道が必要です。

・プラトンは、優秀なるリーダーの資質として「勇敢なる性格」と「慎重なる性格」の二つをあげています。

・このどちらの資質が欠けていても組織を発展に導くことはできません。
・「勇敢なる性格」の持ち主に「慎重さ」が欠けていれば、その勇敢さを誇示するために無用の戦いを起こすことになります。
・「慎重なる性格」の持ち主に「勇敢さ」が欠けていれば、戦いに踏み切ることができずに敗れていくことになります。

・しかし、現実問題として、この両方に優れている人間というのはなかなかいないものだと思います。

・だからこそこうした人材がいれば、それは組織の宝となるのだと思います。

・具体例としては、日本の歴史においては、武田信玄がこの勇敢さと慎重さを兼ね備えた人間だという話があります。
・「戦争と平和」では、ロシアの最高司令官のクトゥーゾフや主人公の一人のアンドレイが勇敢さと慎重さを兼ね備えた人間として描かれています。

DHS231c 戦争の真実と中道からの発展①c ナポレオンの弱点

【ナポレオンの弱点】

・前回、「フランス軍は進撃の時には一体であったが、モスクワ占領後にバラバラになった」というお話をしました。

・この事実は、ナポレオンの二つの弱点を現しています。

・一つ目は、「ナポレオンは進撃に強いけれど撤退には弱い」ということです。

・「攻めは強いが守りは弱い」というのは発展的タイプの人間にはよくあることです。
・企業には発展タイプの人間が多いので、小さな企業が倒産する時は、「発展がうまくいかないのではなく、撤退すべき時に撤退できない」ということがよくあります。

・ナポレオンの弱点の二つ目は、「ナポレオンは戦闘には強いが兵站のような長期戦略にうとい」ということです。

・フランス軍の兵士がモスクワに入って掠奪をはじめたのは飢えと寒さのせいです。
・ナポレオンは「ロシア軍はすぐに降伏をする」と予想をしていて、兵站や寒さ対策を十分にしていませんでした。

・戦闘に強い人間は力頼みになりがちで、危機管理とか、長期戦の準備をしっかりとしない傾向があります。

・結論的には、ナポレオンは「守りが弱かった」ということになると思います。

【中道からの発展】

DHS311d 真理の学びの三つの段階①d 人生の目的と手段

・この記事は、シリーズDHS「奇跡物語」の記事です。

【人生の目的と手段】

・真理を学ぶ第三の段階は、霊的に目覚める段階です。

・この段階のハードルは高いです。
・宗教の言葉で表現すると「招かれるものは多いが、選ばれるものは少ない」ということになります。

・何が難しいかというと、ものの見方、人生観を180度変えなくてはいけなくなります。

・「どのように変えるか」というと、人生の目的と手段を逆にしなくてはいけないのです。

・真理を学び始める人は、自分の幸福のために真理を学ぶのだと思います。
・自分が偉くなったり、自分の周りの人を幸福にするために真理を学ぶことが多いと思います。

・つまり、自分の幸福が目的で、真理が手段です。

・このときの自分というのは、肉体感覚の自分です。
・ところが、これでは霊的に目覚めることができません。

・霊的に目覚めるとは、真理を実践している自分が「ほんとうの自分」なのです。

・つまり、真理の方が目的で、自分が手段なのです。
(仏教で言えば、出家者は自分の欲を捨て、仏のために生きるのです。)

・具体的に言えば、「愛のために生きる」「真理の探究のために生きる」「世のため人のために生きる」ということになります。

・まさしく聖人の世界です。

・「戦争と平和」では、ピエールとナターシャとクトゥーゾフがこのレベルに達しています。
・そしてアンドレイも死ぬ間際にこの境地に達したと思います。

DHS311c 真理の学びの三つの段階①c 反省による魂の進化

・この記事は、シリーズDHS「奇跡物語」の記事です。

【反省による魂の進化】

・真理を学ぶ第二の段階で大切な二つ目の点は、「反省行の実践」です。

・真理の実践は難しいです。
・学んで実践をしてすぐにうまくいくものではありません。

・「戦争と平和」で出てくる例をあげると、マリヤは自己犠牲的に生きて幸福を手にすることができましたが、ソーニャは自己犠牲をして不幸を引き寄せてしまいます。
・ピエールは、苦難を乗り越えて大きな悟りを手に入れますが、失意のまま死んでいく人も数多くいます。

・真理の実践は、うまくいかなくて当たり前なのです。

・そこで必要なのは反省です。

仏道修行の中心は反省です。
反省する人間の魂は進化します。

・試験で間違えたところを復習する人間の学力が上がるのとまったく同じことです。
・お客さんのクレームをしっかり聞く企業が発展するのとまったく同じことです。
・負けず嫌いのスポーツ選手が活躍できるのと同じことです。

DHS231b 戦争の真実と中道からの発展①b 大切な教訓

【大切な教訓】

・前回、「フランス軍は進撃の時には一体であったが、モスクワ占領後にバラバラになった」というお話をしました。

・このことは組織を運営するうえで非常に大切な教訓を与えてくれます。

・「人間は目標に向かっているときは一つにまとまって成果をだすことができるが、安定状態に入るとエゴがでてばらばらになる」ということです。

・つまり、「勝利することより、勝利をしたあとの安定状態を保つことの方が難しい」ということです。

・企業でも「創業より守成の方が難しい」と言われています。
・二代目になって会社がつぶれるのはよくあることだと思います。

・国家レベルでも、戦後の日本などは奇跡的な高度経済成長を遂げましたが、バブル崩壊後は経済成長が止まっています。

・苦しいときにがんばれる人間は結構いるものですが、安定状態にあるときに淡々と努力できる人間は極めて少ないものです。

人間は慢心する動物です。

・幸福論や成功論を考えるときには、これが大変重要なポイントになってきます。

DHS231a 戦争の真実と中道からの発展①a フランス軍の勢いを一変させたもの

3 ナポレオン戦争の真実の姿

・この節では、ナポレオン戦争の真実の姿を紹介します。

① ナポレオン戦争の勝敗を決めた要因

【フランス軍の勢いを一変させたもの】

・ナポレオン戦争は、フランス軍がモスクワに進撃するまでとモスクワを占領してからで戦況が一変します

・モスクワに進撃するまでは、フランス軍の圧勝でロシア軍はただ撤退するだけでした。
・しかし、モスクワを占領してから後は、フランス軍はまったく勝てなくなります。
・この間にロシア軍が軍備を増強したという事実はありません。

・なぜ、そのようなことが起きたのでしょうか。

・結論を言うと、フランス軍はモスクワに進撃するまでは、ナポレオンの指揮のもとに軍が一体となり最強の軍隊でした
・しかし、モスクワに侵入すると兵士たちは掠奪の暴徒と化し、フランス軍はバラバラになってしまったのです。

・一旦バラバラになった軍隊は弱いものです。
・モスクワ占領後の初めての戦いでロシア軍は撤退をはじめました。

・目標を持って進撃する軍隊と、目標を失って撤退する軍隊の士気の違いは明らかです。
・一旦撤退を始めた軍隊はなすすべもなく分解していきました。

DHS311b 真理の学びの三つの段階①b 指導者になる

・この記事は、シリーズDHS「奇跡物語」の記事です。

【指導者になる】

・真理を学ぶ第二の段階は、真理知識を学び実践する段階です。

・この段階では、二つ大切な点があります。

・一つ目は、「普遍の真理の基礎知識」のところでお話をした「縁起の理法」です。

「縁起の理法」は正確に働きます。
・真理を学べば学ぶほど幸福になります。進化します。
・真理を実践すればするほど幸福になります。進化します。

・したがって、真理を多く学び実践した人間は進化をし、指導者になることができます。

・フリーメーソンでも第2段階では、「徒弟」から「職人」へと進化します。
・仏教でも第2段階では、「声聞」から「阿羅漢」へと進化します。

・「職人」も「阿羅漢」も弟弟子が持てる段階です。