🙂 『黄金の法』第2章で説かれていること
・この記事は、シリーズSES「天才教育『黄金の法』講座」の記事です。
・前回から、第2章を学んでいます。
・勉強の苦手な方が読むと、『黄金の法』には、学校の教科書のように「世界史についていろいろなことが書かれている」という印象を受けるかもしれません。
・しかし、『黄金の法』の第2章をよくよく読むと、しっかりと説かれているのは、① ギリシャ哲学、
② 古代ローマ帝国、
③ 近代の思想
の三点だけです。
(中世の歴史、つまり、BC500年~1500年ぐらいの歴史については、ほとんど触れられていません。)
・前回、お話をした「弁証法的発展」の話は、「2 ギリシャ哲学の本質」に関するお話でした。
・今回は、「3 永遠のローマ」のお話をします。
🙂 「永遠のローマ」の意味
・『黄金の法』で、『永遠のローマ』について説かれているということは、仏の世界計画のなかで、古代のローマ帝国が重要な位置を占めているということだと思います。
多様性の統合に成功したローマ帝国
・私が考えるに、その理由は、「ローマ帝国」は、世界史のなかで、最も「多様性の統合」に成功した国家である」ところにあると思います。
(ちなみに、ギリシャの都市国家は、ユートピアの理想の原型になるのだと思いますが、同族の民族の狭い世界でのユートピアです。)
(言いかえれば、ギリシャは調和的な金星型のユートピアで、ローマ帝国は、もっとダイナミックな発展的な地球型のユートピアのモデルです。)
・ローマ帝国の多様性の統合は次の三つの面で見られます。
① 皇帝の役割分担
・ローマ帝国は、カエサル、アウグスティウス、ティベリウスの三者が元老院との確執のなかで、つくり上げた帝国です。
・三者は、それぞれ自分の強みを生かして仕事をしましたが、それが、みごとに継承されてローマ帝国を築いています。
・カエサルは、ガリアを占領するという軍事的な面が強く、創造者としての仕事をしました。
・アウグスティウスは、表面は共和制で、実質帝政の建設という政治的な仕事をし、ローマ帝国の基盤をつくりました。
・ティベリウスは、市民に不人気ながらも、財政や防衛ラインの確立という官僚的な仕事をきっちりとして、「ローマ帝国」を盤石なものにしました。
(この三人の仕事を、司馬遼太郎が語る革命を成就するために必要な三種類の人間と比較して考えると面白いと思います。)
(ちなみに、明治維新は王政復古と四民平等のサンドイッチ革命であることが特徴的ですが、ローマ帝国も、皇帝、元老院、市民と神様から成り立っている文明です。)
② それぞれの民族の役割分担
・古代ローマの最大の特色は、「占領した民族の仏性をリスペクトした」ところだと思います。
・政治面では、ローマ主導で帝国を支配しましたが、軍事面では、地元の民族の力を大切にし、特にガリアの軍事力は大きな力となったと思います。
・経済面では、ギリシャとユダヤ民族の力が発揮されましたし、学問や芸術に関しても、ギリシャ文明を継承しています。
③ 占領した地域の神様へのリスペクト
・また、ほんとうの意味でのリスペクトは、地元の神様に対するリスペクトです。
・地方政治においても、占領した民族の自主性を認め、生活スタイルは維持させました。
・つまり、「その地域の宗教まを排斥することはしなかった」ということです。
(この点で、一神教であるユダヤ教徒との対立は起きましたが、それも、ティベリウスが亡くなった以降の話で、カエサルなどはユダヤ人に大変人気のあったようです。)
『黄金の法』に説かれている内容
・『黄金の法』では、こうしたローマ市民の教養のバックボーンになっていた三つの思想が説かれています。
① ストア学派
・一つ目は、ストア学派です。
・「心こそすべて」という哲学だと思います。
・マルクスアウレリウスやセネカなど政治の中心にいた人がこういった思想を提唱していたところに意味があると思います。
② プロティノスの哲学
・二つ目は、プロティノスの思想です。
・本質重視の思想です。
(ギリシャ哲学を受け継いだ部分が大きいと思います。)
③ アウグスティヌスのキリスト教哲学
・三つ目は、アウグスティヌスの思想です。
・神の国がほんとうの国という思想です。
・いずれの思想も、「現実よりも霊的なものを大切にする思想」で、現実的なローマ人を、絶妙なバランスで、「この世とあの世を貫く幸福」の修行に導いたのではないかと思われます。