【無我の兵士、自我の兵士】
・前回は、「ロシア軍の司令本部の自我と最高司令官のクトゥーゾフの無我」のお話をしました。
・今回は、「兵士たちの自我と無我」のお話です。
・「戦争と平和」における兵士たちの自我と無我の問題は、組織の勝利を考えるうえで大変興味深いテーマを提供してくれています。
・戦いが白熱して接戦になっとときに、その戦いに勝てるかどうかの最後の決め手は、「現場で戦う人間の士気の問題である」というのは容易に想像できるところです。
・ナポレオン戦争の最後の戦いではロシア軍の士気が高く、フランス軍の士気は弱かったということになります。
・すでにお話をした通り、フランス軍はモスクワに入ってから(掠奪という自我がでて)士気がゆるみ、それを立て直せないまま敗れていきました。
・それでは、一方のロシア軍の方は「なぜ、士気を高めることができた」のでしょうか。
・「戦争と平和」では「兵士たちに愛国心」が描かれています。
・「国を護る」、「皇帝陛下のために」という兵士たちの念いがロシア軍の強さになりました。
・ただし、この愛国心は常時でていたわけではありません。
・兵士たちの愛国心が自我をうわまわって勢いがでてくるときと、自我(この場合は恐怖心が大きいですが)が愛国心をうわまわって弱気になる場合があるのです。
・その理由は恐らく霊的な理由だと思います。
・戦争における霊的力の作用については次回にお話をします。