・本節では、絶対幸福に到る道を深く考えるために、苦しみの底をぶち抜いて幸福になった人々の話を紹介しています。
② デール・カーネギーの「道は開ける」
【人生の底を知った人】
・今回からは、デール・カーネーギの「道は開ける」に出てくる人々を紹介したいと思います。
・人間が幸福になるパターンは三つあると思います。
・一つ目は、「人生の底を知ること」です。
・「道は開ける」では、人生の底を知ったテッドという漁船の乗組員の話が出ています。
・テッドは、底引き漁船の乗組員となり、過酷な環境下で一日二十四時間働くような状態が一週間続くようなことがありました。そして、次のように言っています。
しかし、以上のような仕事も「コルク線」と呼ばれていたものを引き上げる仕事に比べたら、まったくの遊びだった。
・「コルク線」とは、「ビクともしない」というか、下手をすると自分が海の方へ引っ張られそうになるほど重いコルク製の浮き子や帯綱を引き上げる作業で、彼は極度の疲労と激痛の中で何週間も過ごしたのでした。
・仕事が終わった後は、疲れのために痛みをかかえながら眠り続けるような状況でした。
・しかし、テッドは、「その経験をしたおかげで一切の悩みがなくなった」と言います。
私はこうした苦痛と重労働に耐えられたことを今でも喜んでいる。おかげで、すっかり悩みを忘れてしまったからだ。今では何かやっかいな問題が起きると、悩むかわりにこう自問してみる。「エリクセン、こいつとコルク引き上げ作業とどっちがやっかいだ?」と。そこでエリクセンは「いや、あれほどやっかいなものはない」と答える。こうして私は元気を回復して、問題と取り組むようになる。
・私の経験上、好き好んで人生の底を体験しなくても、こうした体験をした人の話を心にしみこませるようにすると、「目の前の問題はささいなことに見えてくる」ようになります。