・この節では、「戦争と平和」の主人公ピエールがどのように悟りを得ていったかの紹介をしています。
② 火と水の試練
・フリーメーソンが伝える真理によると、人間は火と水の試練(人生の苦難・困難)を経て人格を向上させることにより「古代から伝わる真理の秘法」を手に入れることができます。
・今回は、ピエールが体験した「火と水の試練」を紹介します。
【欲望にほんろうされる苦しみ】
・まず、ピエールがフリーメーソン(真理)と出会うまでの苦しみを紹介します。
・お釈迦様であろうと、イエス様であろうと、マホメッドであろうと、人間はみんな真理に出会うまでは「苦しみ」のなかにいます。
・ピエールは大きな財産を持つ伯爵ですが、どちらかというと不幸な人間として描かれています。
・ピエールには純粋なところがあるのですが、正義の実現のために何をしたらよいかわからず、結局、自堕落な生活をしている仲間たちに巻き込まれ悪事を行います。
・そして、社交界に溶け込めず、空想家と見られ白い目でみられます。
・ピエールの最大の苦痛の種は、美人だが冷酷で淫蕩な夫人のエレンの存在です。
・エレンの浮気性のせいで、上流社会からバカにされます。
・エレンが原因で決闘をして、上流社会から糾弾されます。
・ここでトルストイの言わんとしていることは「世間体を気にすることの愚かさ」と「世間体を気にする必要のある家庭を持つことの愚かさ」です。
(これはエピローグとの対象で明らかになります。)
(まえがきにも書きましたが、私の印象では、エピローグは「天国の生活」を紹介しているような気がしています。)