MS233a 心の自由を求めたピエールとこの世の成功を求めたアンドレイ

・この記事は、シリーズMS「奇跡物語」の記事です。
・本節では、絶対幸福に到る道を深く考えるために、苦しみの底をぶち抜いて幸福になった人々の話を紹介しています。

③ 「戦争と平和」の登場人物のそれぞれの苦しみと幸福

【心の自由を求めたピエールとこの世の成功を求めたアンドレイ】

・今回からは、「戦争と平和」の登場人物の幸不幸を考えます。

・「戦争と平和」の登場人物の数は559人だそうです。
・トルストイは様々なタイプの人間の「幸福に到る道」、「不幸に陥っていく道」を描いていますが、その対立構造で見ていくと人生の意味が見えてくると思います。

・はじめに、心の自由を求めたピエールと、この世的な成功を求めたアンドレイの「絶対幸福への道」の違いを考えます。

・ピエールは、理を探究する伯爵です。
・「人生とは何なのか」というようなことを考える思索的な人間です。
・莫大な遺産を手にしながら、この世的に不器用な生き方をして苦しみます。
・フランス軍につかまって、捕虜収容上の極悪の環境下を経験して、それをのり越えて悟りの境地に達っします。
(私の印象では、悟りにいたるまでのお釈迦様の生き方と似たようなところがあります。)

アンドレイは、優秀な青年侯爵です。
・最高司令官も認める優秀な軍人ですが、最後は戦争で大きな傷をうけて死んでいきます。
(私の印象では、ヘルメス様*と似たようなところがあります。)

*ヘルメス様:ギリシャ神話の神様、幸運と富を司る愛と発展の神様。旅人と商業の守護神とされている。

・ピエールもアンドレイも、最後は「幸福の境地」を知りますが、その知り方は対象的です。

・ピエールは霊的な人間で、死刑直前まで行き、死の恐怖から脱することにより悟りを得ます。
(つまり、この世の最悪の環境のなかで「心の自由」を手にします。

・一方、アンドレイはこの世的な人間で、死を覚悟することにより、執着から離れ悟りの境地に入れます。
(つまり、あの世に旅立つことにより幸福を手にします。

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